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2027年の企業ITはどこへ向かうのか。押さえておきたい5つの技術トレンドを総覧する

こんにちは、千葉県を拠点にSES事業を展開するエニプラです。当社は2010年の創業以来、インフラ、業務系、Web系の現場でお客様のシステムを支えてきました。

今回は、企業ITの技術トレンド総覧として、当社の知見や公的な調査データを踏まえながら、2026年に起きた変化と2027年に向けた展望を整理します。

AI技術の爆発的な進化が見られた2026年。生成AIを「とりあえず使ってみる」段階は、すでに多くの企業で一巡しました。また、AIを悪用した攻撃の自動化や高度化が指摘されるようになり、大規模な情報漏えいの被害も相次ぎました。

他方、クラウドやDX投資が一巡する中、いまだレガシーシステムが残っている企業が多いのが現状です。国内人口が減少傾向にある中、IT人材の確保も容易ではありません。

本記事が、皆様の参考になれば幸いです。ぜひ最後までご覧ください。

トレンド1:生成AIは「使う」から「組み込む」へ

2026年は、生成AIの普及が数字に表れた年でした。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」によると、AIを導入または試験利用している企業は58.0%に達し、生成AIを「導入している」企業の割合は前年の22.6%から44.0%へとほぼ倍増しています。総務省の「令和8年版 情報通信白書」では、日本における生成AIの利用経験率が前年の26.7%から58.8%に上昇したと報告されています。

※出典:IPA「DX動向2026」P.28(図表3-5)

一方で、その使われ方を見ると、業務プロセスへの組み込みはこれからです。同じDX動向2026では、生成AIを「個人で業務利用している」企業が63.3%なのに対し、「部署の業務プロセスに組み込まれている」は11.9%、「全社的なサービスに組み込まれている」は18.6%にとどまりました。導入効果を「期待どおり」以上と答えた企業も31.8%にとどまります。個人の生産性向上には寄与しても、業務の流れそのものを変えるには至っていないのが、多くの企業の現在地といえるでしょう。

このような中、2027年に向けてはAIの業務実装が進んでいくと思われます。DX動向2026の調査時点では、AIエージェントの利用部署はまだ限定的ですが、実感としてもすでに企業の投資は始まっています。

技術的にはデスクワークの多くの業務でAIを活用できる段階に入っています。そのため、導入に当たって壁になるのは技術よりも人とルールです。2025年にはAI法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)が公布・施行され、総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン」も2026年3月に第1.2版へ改訂されました。「どの業務に、どのデータで、誰の責任で組み込むか」を決める体制づくりが、2027年の課題となるはずです。

トレンド2:クラウドは「移行」から「最適化」へ

多くの企業では、オンプレミス環境の保守切れなどを契機に、クラウドへの移行が進んでいます。総務省の「令和7年通信利用動向調査」(2026年5月公表)によると、クラウドサービスを利用している企業は83.4%で、「全社的に利用している」企業だけでも59.9%に上ります。

移行が一巡した企業で目立つようになったのが、移行後の課題です。従量課金は利用が広がるほど見通しを立てにくく、想定を超えるコストにつながります。複数のクラウドとオンプレミスが混在するハイブリッド構成は運用を複雑にし、それを担える人材も不足しています。

よって、2027年に向けて重要になるのが「コスト最適化」と「ワークロード最適化」という2つの視点でしょう。前者には、利用部門とIT部門が共同でクラウド費用を継続的に管理するFinOpsというアプローチが有効です。後者では、「何でもクラウド」ではなく、機密性の高いデータや負荷の安定したシステムはオンプレミスに、変動の大きい処理や新規開発はクラウドに、といった使い分け方針の整備が必要です。

生成AI向けのGPU需要の増加や、データをどの国のどの事業者の管理下に置くかという「データ主権」も、ITインフラにおける新しい論点です。生成AIの技術開発を海外企業が主導する中、いかにして国内にデータをとどめるかも、機密情報を扱う企業においては重要視されていくと思われます。

トレンド3:セキュリティは「境界防御」から「ゼロトラスト」へ

2026年のセキュリティを語るうえで避けて通れないのが、秋にかけて相次いだ大規模な情報漏えいです。東京商工リサーチの集計によると、上場企業とその子会社による100万件以上の個人情報漏えいは、2026年10月5日時点で10件に達し、2025年の1年間の6件をすでに上回りました。警察庁の統計でも、2026年上半期のランサムウェア被害報告は123件と半期として過去最多で、被害の約6割を中小企業が占めています。

注目すべきは、攻撃側がAIを使い始めていることです。JPCERT/CCは2026年10月の注意喚起で、AIを用いた侵入テスト基盤を悪用し、公開Webアプリケーションの脆弱性探索や攻撃を自動化する手口を確認したと報告しました。 このような状況では、従来型の「社内ネットワークの内側は安全」という前提に立った境界防御は見直すべきでしょう。クラウド、テレワーク、委託先との情報共有、そしてAIツールの利用によって、守るべき境界はすでに曖昧になっています。これに代わるゼロトラストは、すべてのアクセスを信頼せずに毎回検証するという考え方で、大手企業を中心に移行が進んでいます。2027年は、この動きがさらに加速するでしょう。

トレンド4:レガシーシステム刷新は待ったなし

経済産業省が2018年の「DXレポート」で警鐘を鳴らした「2025年の崖」は、既存システムの老朽化を放置することで、2025年以降に最大で年間12兆円の経済損失が生じうるという試算でした。その2025年を越えた今、必ずしもすべての企業がレガシーシステムの刷新を終えたわけではありません。

足踏みの理由は、各企業の事情によりさまざまです。仕様を知る技術者の退職でブラックボックス化が進み移行できないケースや、システムが複雑化しすぎており移行に多額の費用がかかるケースなどが代表例です。一方で、レガシーシステムの残置は保守コストの高止まりやセキュリティリスクなど、マイナスの側面が多くあるのも事実です。 レガシーシステム刷新は企業にとって必須事項といえるでしょう。2027年という時期に限ったことではありませんが、できるだけ早期に新環境への移行を進めていく必要があります。

トレンド5:IT人材の確保と育成がさらなる重要課題に

ここまでの4つのトレンドに共通するのは、最後は「人」の問題に行き着くことです。DX動向2026によると、DXを推進する人材の「質」が不足していると答えた企業は88.8%で、従業員301人以上の企業では9割を超えます。

IT人材不足は過去から指摘され続けてきましたが、その状況には変化も見られます。人材の質が「大幅に不足している」と答えた割合は前年の58.9%から52.9%へ下がり、不足感の強さには一服感も見られます。

企業にとって示唆となるのが、DX推進に必要なスキルを把握している企業ほど不足感が低いという傾向がみられることです。質が「大幅に不足」と答えた割合は、スキルを把握している企業で40.6%、把握できていない企業で64.0%と、20ポイント以上の差がありました。自社に必要なスキルを言語化し、評価と育成の仕組みに落とし込めているかが、企業の人材不足を解消するための鍵といえるでしょう。

AIは人材育成の前提も変えつつあります。定型的なコーディングや運用作業はAIが担う範囲が広がる一方で、AIの出力を評価し、システム全体を設計するためには、ネットワーク、OS、データベースといった基礎技術の理解がむしろ重要になっています。 人材確保のためには、内製化、外部人材の活用、ベンダーへの委託といった手段を組み合わせるのが現実的です。ベンダー任せにするのでも、すべてを内製化するのでもなく、「どの領域を自社で持ち、どの領域を外部と組むか」を定めて人材を育成できるかどうかが、DXの成果の差になっていくでしょう。

まとめ

これら5つのトレンドを並べると、いずれも技術を導入する段階から、定着させ、守り、担う人を育てる段階へと論点が移りつつあります。利用できるようになった新技術を、いかにして社内に取り込めるかが企業のIT成熟度を分けます。高速に技術が進化する中、キャッチアップしていくことは容易ではありません。一部の大企業を除き、技術力を持った外部人材の活用はますます重要となるはずです。

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